銀魂小説
紅月の夜 (一  (攘夷)

紅月の夜

月明かりに照らされた銀色が夜風に触れられて憂いな表情を浮かばせる

満月に流し目を向けながら猪口を口へと運ぶ



静かに目を閉ざし浅い眠りにつく








「たぁかぁすぎっ!走ると危ないと何度言えばわかるのだ!!」

「るせー、いい子ぶってんじゃねぇよ桂ぁ」

「これこれ、そんな言葉づかいをするものではありませんよ」                                                         


後方から聞こえる声といつもと変わらない町のざわめきを聞きながら
一人の子供が路地の隙間から重たい腰を上げた

頭には大きな手ぬぐいを深く巻いている
とても前が見えているとは思えない程に深く。


左足を少し引きずりながらよたよたと歩き出した


「高杉!ちゃんと前を向いてあるかないと」

桂と呼ばれる子供は言いかけて、声を荒げる

「危ないっ!」

「え・・・?」

言われて前方をみたが時すでに遅く、

高杉は前を歩いていた少年と盛大にぶつかった



「大丈夫ですか!?」

二人の子供を連れていた白髪の若い男の人が、倒れた子供たちのそばへ駆け寄る


「いってぇ〜!!おい、お前大丈夫かよ?」

高杉は頭を押さえながらぶつかった相手の顔をうかがう

「平気だ」

落とした刀を手に取り立ち上がった


「お待ちなさい。あなた、足を怪我しているじゃないですか。どうぞうちへおよりなさい。手当をしましょう」

「これは昨日の傷だ。もう大丈夫だ」

早口で言い、その場から逃げだすようにして立ち去ろうとした。が、足がふらつきまともに歩けない

「悪かったな」

高杉がぼそっと謝罪を口にし少年の左側につき、肩を貸した

「うち、来いよ」



半ば強引に、少年は三人が住む長屋に連れられた


「あなた、先にお風呂に入りなさい?」
白髪の男が、少年の身なりをみてお風呂を勧めた

ぼろぼろの着物に裸足、身長に合わない刀・・・

「風呂・・・」

少年は刀を持ったまま案内された風呂場へと向かう



風呂からあがると、綺麗な子供用の着物が置かれていた
少し戸惑い、その着物に袖を通す

そして何かを探すように辺りを見渡す

「手ぬぐい・・・」

頭に巻いていた手ぬぐいが古い着物と一緒になくなっていた

少年は自分の髪に手を通し、頭をかく

「どうすっかなぁ・・・」






「あぁよかった、サイズ丁度よかったみたいですね」

「ありがとう。・・・俺の手ぬぐいは・・・?」

頭に、体をふいたタオルを巻きながら少年は目を合わそうとしないで訪ねた

「手ぬぐいは必要でしたか?」
「せんせぇー!飯できたぜぇー?」

話の途中で襖が豪快に開き、高杉が現れた

「お前も、早く来いよ!」

高杉は少年に声をかけた

「・・・いいのか?」

「もちろんっ!なっ先生!」


「ええ」
嬉しそうに先生は笑った


四人で小さな机を囲んだ

「俺、高杉晋助。さっきは悪かったな」

「いや・・・」

「私は松陽。この子たちに学問を教えています」

「学問・・・?」

「俺は桂。桂小太郎だ。お主の名は・・・?」


少し間が開いて、少年は口を開く

「・・・覚えてない。」


少しの沈黙が空気を重くした


「つーかさぁ!」

高杉が重たい空気を破る

「お前、飯のときくらいタオルとれよなぁ」

そういって少年の頭からタオルを取ってしまった


「!!っおい!!」

洗いたての髪がふわっと肩にかかった

さっき以上の沈黙が流れる





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