銀魂小説
後継連鎖  (土沖)

後継連鎖

とれない、おちない、けせない………

きえない、しずまらない、わすれられない……

みえない、あかるい、たいようのもと

ちかい、くらい、やみのそこ

おちる、おちる、おちる

くるしい、くるしい、くるしい



「っはぁっ!はぁ…はっあ」
汗で髪が濡れていた
「夢か…。最近多いな。この夢。」
窓を開け、涼む
チリーン……チリリーン………
夜風に吹かれて風鈴が揺れる

「はぁ…―――」



「おはようございます。沖田さん、はいりますよ?」
すぅっと沖田の部屋の襖が開いた
「あぁ!沖田さん。そんなところで寝て…風邪ひきますよ?もぅ」
沖田は窓を開けっぱなしにして壁にもたれて眠っていた。
「沖田さん、沖田さん!起きてくださいよ。早く朝食すませてください」
「んっ…おぅ山崎。はょ…」
くぁっとあくびをしておきあがる。
「っかぁ〜!腰いってぇ。」
「あたりまえですよ。そんなところで寝て。どうしたんですか?」
「ん、暑かったから…。飯、食ってくる」
「はい。」


とれない、おちない、けせない………

「くそっ…頭から離れねぇ。」
沖田の体は熱く火照り、鼓動は高くなっていった。
「はっ…はぁ、っ……」
ドタッ
沖田は廊下に倒れこんだ。
「沖田さん!!」
近くにいた山崎が叫ぶ。
「沖田さん!!沖田さん!?大丈夫ですか?っ!!熱い!!」
山崎は沖田の頭に触れてあせった。
沖田の部屋へと急ぐ
布団を敷き直して沖田を寝かせた。
「だから、いったじゃないですか〜」
山崎は子供をしかるかのようにいった。
「待っててください。今水とタオルもってきますんで」
沖田には山崎の声がまったく聞こえてなかった。

とれない、おちない、けせない………血が

きえない、しずまらない、わすれられない……断末魔が

みえない、あかるい、たいようのもと

ちかい、くらい、やみのそこ

おちる、おちる、おちる

くるしい、くるしい、くるしい 

助けて。誰かっ…俺をここからだしてっ!!!!

「出してっっっ!!!!」
「!?どっどうした?総悟?」
「土方さん…。」
うなされて目を覚ますと枕元に土方が座っていた。
「土方さん、仕事は?」
「今日は非番だ。」
「そうですかい…」
「それより、おまえ汗すごいぞ。大丈夫か?」
「平気でさぁ。シャワー、浴びてきまさぁ。」


シャァァァァァ―――キュッ…。
沖田は寝汗をぬるま湯でながした。
「また、あの夢。」
通算、何度目か。
なんども、なんども、あの夢にうなされて目がさめる。
職業柄、仕方の無い夢なのか…。
土方さんや近藤さんも、こんな夢をみるのか…。
沖田は考えていた。
コンコンッ
風呂場の戸がなっている
「はぃ?」
ガラガラと音をたて戸が開く
「総悟、なにか悩んでいるのか?」
「土方さん…。いや、なんでもないですよ?」
「最近ずっと表情が暗いぞ。話してみろ。」
「……夢を、見るんでさぁ。」
「夢?」
「えぇ。土方さんは、見ませんかい?
とれない、血と臭い…。
忘れられない、断末魔……。
見えない太陽の光
近づく闇の底」
「その闇の底が、暗いんですよ…。誰にも見つけてもらえない程。
その声が、止まないんですよ…。斬った人たちの断末魔が。
その色は、濃いいんですよ…。斬って浴びた返り血の量が多いからっ!!!!」
沖田の声が震えている
「総悟…。」
土方は沖田の頬に手をのばした。
「なんですか?」
土方はなにも言わずに沖田の頬に伝うものをぬぐってやった
「?……。あっ、なに、泣いてんすかね…?俺…。」
触れられて初めて、自分が号泣していることにきがついて必死に涙をこらえていた
「総悟、ためるな。泣け。俺もそういう夢を見たことがある。お前みたいに抱え込んで急に爆発した。そのとき、近藤さんが俺を抱きしめてくれた」
そういうと土方はおもむろに沖田を抱き寄せた。
「おまえの後輩が…、きっと山崎だろうな…。山崎がまいってたら、今度はお前が慰めてやるんだ。抱きしめてやれ。」
「土方さんっっ!!」
「泣け…。」
沖田は土方の胸の中で小さな子供のように泣いていた。
「ひじっ…かた、さ…土方さ…、んっ」
っあぁっ、っく…っはぁっ…

沖田は半時ほど泣いていた。

シャワーの音と、沖田の声が、混ざっていった。







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