銀魂小説
TIME (一  (近土沖)

TIME



「おぁー金閣寺!金閣寺っ!!」
「でけぇな〜!」

「トシ!早く来いよっ」

「るせぇ〜なぁお前らは。ガキかよ」

「クールぶってねぇでおとなしくはしゃげよクソマヨ。」
「んだとソウシ」

「近寄んなニコチンくせぇーー」

「こらこら二人とも!せっかくの旅行なんだし、仲良くしろよ?」
「だってニコチン野郎が」
「もう卒業したんだ。問題ねぇだろ!?」

保育園の頃から小中高とずっと同じ学校で、それぞれ家も近い

トシキとソウシはよく喧嘩をしていた
そこに割って入る保護者的存在が、カツヤ。

なんだかんだ、ずっと一緒のこの三人は不思議な関係ながらもつるんできた

本日は高校の卒業旅行で京都へ来ていた

「もう高校も終わりかぁ。なぁトシ、お前これからどうすんだ?」

「まだ決まってねぇ。カッちゃんは?」

「いや、俺もまだ。ソウシは?」

「俺?んまぁ、なるようになるんじゃね?」

「ようは決まってないんだな」
トシキがすかさずつっこみをいれる

「だまれニコマヨ」

「なっ」
「はいはい!終わり終わりっ。次、どこ行く?」

「あー俺、新選組の跡地巡りいきてぇ」

「え〜おやじくせぇ〜」

トシキの提案にはいつも辛口なソウシ

「新選組か、よし行ってみるか」

カツヤの賛成で結局行くことになった三人は、かの有名な´八木亭′へ向かった

道中、大きな八重桜の木がいくつもあった

枝の先につぼみをつけ、開花の瞬間を夢見て待っているようだった

旧八木亭、玄関で足を止めるカツヤ

「どうした?カッちゃん」

トシキが気にかけて名を呼んだ

「・・・いや・・・」

言い知れぬ違和感と、妙な懐かしさを感じた

屋敷の中には、大きな刀きずがあった

ソウシは一人つまらなさそうに八木亭の立派な庭を眺めていた


「そろそろ飯にするか?」

カツヤがソウシに声をかける

「おー。ここは、・・・なんかつまんねぇ・・・」

ソウシは一度言葉を詰まらせてから、呟くように言った

「・・・そうか。昼飯、何がいい?」

「ソバー。ところてんも食ってみてぇ」

京都旅行の雑誌を片手に、店を探す

「よし、ここへいってみよう!トシ、行くぞー」

いつまでも八木亭の天井を眺めているトシキを呼ぶ

「んー。」
上を向いたまま、軽い返事を返した






昼食を終えた三人は、向かいの土産屋で物珍しそうに買い物をしていた

「なんか、基本どれにも「誠」って書いてるな」

ソウシが言う

そう言われてみれば、ほとんどの土産物に「誠」と記されている

提灯、扇子、タオル、饅頭・・・

端から順に物品を見て行く

トシキの足が、一番奥で止まった

そこには大きな旗が飾られていた

絹の布地に赤と白のだんだら模様、そして太く大きな字で「誠」とかかれていた

ボロボロで、薄汚れたその旗は、売り物ではなかった


トシキは無言でその旗を見詰めた

目の奥が熱くなり、手足がむずむずした


「あー俺、これ欲しいー」

トシキのすぐ後ろで、気の抜けるような声がした

「なんだよソウシ」

「これ!」

指さした先には、新選組の羽織がかかっていた


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