銀魂小説
TIME (完

「なぁんか旅行とか来たら、木刀とか普段使わねぇもんって買ってしまうんだよな」

「ガキか」

そしてソウシは結局、だんだらの羽織を買っていた



夕方、旅館についた三人は食事の前に温泉へ入ることにした

荷物を部屋に置き、浴衣を持って風呂へむかう

「俺、これ着よっ」

旅館で用意された羽織には目もくれずに、ソウシはさっき購入した新選組の羽織を出した

「どうせ今しか着れねぇし」

「じゃぁ買うなよ」

なんて子供みたいな言い合いをしながら大きな露天風呂に浸かった

部屋に設置されていたフリーサイズの浴衣に袖を通す

「うわーでけぇよ、これ」

「ちび。俺丁度いいや。」

「俺、裾つんつるてんなんですけど」

各々体のサイズが違い、着心地はあまり良くないようだった

「でも、これ。かっこよくね?」

だんだら羽織をはおったソウシが、二人の前でその姿を披露した

一瞬、空気がとまる

「そう・・・ご・・・」

カツヤの口から言葉が零れた

「え?」

ソウシは聞き違いかと思い、疑問符を返す

「え・・・あ、いや。なんでもねぇ」

ふっと我に返り、首を傾ける

トシキは無言のままだった


部屋に戻り、京都料理を満喫し、トシキとカツヤはそのまま畳にごろ寝をしていた

ソウシは夜涼みに中庭へと向かっていた

「うっわ、やっぱ夜はちょっと冷えるな。先トイレよってこ・・・」

トイレに入り、手洗い場の大きな鏡に全身が映った

「っ・・・!!」

ソウシの鼓動が速くなった

「新、選組・・・」

声にでていることにも気付かずに、ただ鏡に映った自分の姿をみていた

ガチャっと音がして、トシキが現れた

「なんだ、ソウシお前もトイ」
「土方・・・さん・・・?

鏡越しにトシキの顔を見て、ソウシがそう呼んだ

「土方・・・?ひじ・・か、た!!」

呼ばれた名を繰り返すうちに

自分の中にある深い記憶が蘇った


「土方、十四郎・・・俺の・・・名前・・・ソウシ、そう・・・総悟・・・!!」

名前を呼ばれたソウシも、自らの記憶を呼び覚ました

「沖田総悟!!近藤勲。俺たちは、真選組・・・」

二人は顔をみあわせてぶるっと身震いをした

「土方さん、まさかまた同じトキを生きていたとはねぇ。なんか、不思議な感じでさぁ」

少し目の色が変わったソウシ。話し方も、心なしか、変わった

「総悟・・・またお前に会うなんてな・・・」

「!!そうだ!近藤さん!!」

二人は自分たちの部屋へと駆け込んで行った

「なんだぁお前ら二人してどこいってたんだよ?」

にこやかにカツヤが聞いた

「近藤・・・さん?」

「・・・あ?どうしたソウシ?」

「近藤勲」
トシキがカツヤの目をみて、強く言った


「!!・・・ト・・・トシ・・総悟!?」


三人は一世紀前の記憶を、変わらない絆を、確かめ合った

流れる時代は変わり果てたが

変わらない京の町

壬生浪士のころからの屯所、八木亭

そして三人の記憶


京に来なければ、きっと思い出すこともなかった

気づくこともなかった

近藤、土方、沖田

平成にその侍魂蘇る


数年後、彼等は京都で警察官になった―――。


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