沖神小説
武士道

武士道

カーテンのすきまからこぼれる太陽の光が眩しかった。
「んっ…。」
神楽は寝ぼけ眼(まなこ)で布団からでてきた。
「まぶしっ…ぃ」
思わず目を伏せると、隣には愛しい彼が天使のような顔で寝ていた。
「これは普通女の子の寝顔ネ…。」
そんなことをいいながらもその美しい寝顔に見とれていた。
起こすのが、ほんとうに惜しいくらいに綺麗な寝顔の男の子だ。
「ソウゴ…、起きるね。今日は朝から仕事はいってるいってたネ!」
「んー…。」
可愛い息をもらした沖田に神楽はたまらずキスをした
額に、頬に、首に、唇に…。
「おぅ…?神楽。なに甘えてんだよ」
「あはは。おはよう。ソウゴ」
「おはよ」
毎日が幸せな新婚夫婦。
ふたりが一緒に住み始めてもう一週間。



「神楽、俺の嫁にこないか?」
「え…?」
会えば必ずといっていいほどに喧嘩をしていた相手から、いきなり、ほんとうにいきなりのプロポーズをうけた。
「なんで…?」
「お前さんが好きだからさぁ」
軽く言ったように聞こえたけど、その表情は真剣そのものだった
神楽は以前より沖田のことが好きだった。
彼もまた同じ気持ちでいることがうれしかった。
「喜んでお受けするアル」
神楽は二つ返事で結婚をしてしまった

「はぁ!?結婚!?」
大声を上げたのは万事屋の亭主、銀時だった
「おまっ、沖田と結婚するのか?」
「あぁ。もう決まったことアル。今までお世話になったネ。ありがとアル。」
「神楽…。でも、あいつは…!」
「銀さん!!いいじゃないですか。彼がそう望んだんです。いいじゃないですか」
「新八…。でも、」
「神楽ちゃん、沖田さんのことは好きですか?」
「あたりまえネ。」
「どんなことがあっても、耐えられるね?」
「…?うん。どうしたか?新八?」
「沖田さんは…、いや。きっと彼は自分で言うでしょう。」
銀時と新八はうなずいた。
「ちょっとやそっとじゃ帰ってくんじゃねえぞ」
「行ってらっしゃい。神楽ちゃん。」
ふたりは複雑な顔をして神楽に別れを告げた


あれから一週間たった今、とくに変わりばえも無く平和な日々が続いていた。
もちろんこの先もこのままふたり一緒にいられるものだとばかりおもっていた

「神楽、ちょっと、いいか?」
このときまでは。
「うん?」

「俺、さ。もうあと一カ月しか生きらんねぇんだ」
言っている意味がわからなかった。
「え?」
「あと、一カ月でこの体はなくなっちまうんでさぁ」
「ど…して?」
「侍、だから」
「なにが!?」
「俺の隊の奴がミスってよ、おかみが死にかけたんでさぁ。そいつは、切腹させられて、責任として近藤さんまで来月処分として切腹を言い下されたんでさぁ。だがよ、近藤さんは局長でいなくてはならない存在だから土方さんが代わるって言い出したんだけどさ、俺にとっても、誰にとっても、あの人も大きな存在なんでさぁ…。」
「ソウゴだって!!!ソウゴだって私にとって大きな存在アル!!いなくちゃいけない人アル!!」
「すまねぇな。俺しか、いねぇんだよ。隊のやつら代わりに出すなんて、絶対にしたくねぇ。それに、下の奴らの責任じゃぁ、だめなんでさぁ。」
「いやだ!!ソウゴ!!」
「これが、俺の武士道なんでさぁ。あの人たちを死なせるわけにはいかねぇんでさぁ」
「やだ!!やだよぅ!!!」
「すまねぇな…神楽。俺のために一ヶ月、夫婦ごっこしてくだせぇ。せめて、最後くらいは大切な奴と一緒にいてぇ」
「ソウゴ!!」
「すまねぇ。俺の、武士道なんだよ…」

その日は、それからあまり話をせず、床に就いた。
けど、次の日からはいつもと同じ明るい神楽にもどっていた
彼女なりに、旦那の武士道を立てなくてはと、感じたのだろうか…。

二人の時間はあっというまに過ぎて、運命の日が明日にせまった。



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