沖神小説
武士道A

「ねぇ、ソウゴ…。今日は、一緒に寝てもいいアルか…?」
「あぁ…。」
ごそごそっとソウゴのふとんにもぐりこむ。
「ねぇ、ソウゴ。」
「ん?」
あしたの夜からは私はひとりぼっち…。
いいそうになって言葉をのんだ
「なんでもないヨ…。」
「……。神楽、俺の所に来てくれて、ありがとう。明日からは万事屋でくらしなせぇ。ここにいるのはつらかろぅ?」
「…うん。」
「ソウゴ」
「ん?」
「大好きアル…―――。」
「あぁ。俺もお前さんが愛しくてしかたねぇ」
おいていかないでっ。神楽の頭によぎった言葉。
いえなくて、涙にかわる。
「すまねぇ。神楽」
沖田は神楽を抱きしめて、ねむった。


朝。これでもかというほどに美しく晴れた日だった。
沖田は髪を束ねてくくった。
サクッと髪にはさみをいれた。
「神楽、こんなものしか、のこせねぇけど…。」
沖田は切った髪を神楽に手渡した。そして、
また帰って来るよといわんばかりのいつもの口調で
「行って来ます」
とでていこうとした
「待つアル!!」
沖田が振り向くと、神楽は沖田に口付けをした
「神楽…。」
抑えていた感情が一気に溢れて神楽を抱き寄せる
そして、長い長い接吻をかわした。
「神楽、元気でな。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
神楽は涙をこらえて笑顔で見送った。
愛する人が、死にに行く。
後姿を目にやきつける。
だんだん小さくなる影と、涙でかすんだ目の前は
こすっても、こすっても、見えなかった。
「いってらっしゃい。ソウゴ…。」
あなたの志、侍魂、私は生涯忘れることはないでしょう。
侍たちは歩いてゆく。自分の信じた真っ直ぐな武士道を。
その歩みは、何人たりとも止めることはできない―――。












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