沖神小説
枝垂れ桜の散る様に

枝垂れ桜の散る様に





「―だから、別れてほしいアル」


「・・・・・・・え?」

「冷めてしまったアル。ばいばいよ、総悟。」














蝉の声が五月蠅いある朝、いつもより少しトーンの低い声が名前を呼んだ

「ぎんちゃぁん」

「んー?」

「頭痛いネー」

ジャンプ片手に、ソファーでくつろいでいるところへ神楽がよたよたと頼りない足取りで近づいてきた

「風邪かぁ?」

「わかんないアル。頭が痛いョ」

こいこいと小さく手招きをして頭を近づけさせる

「どれ?」

「っ冷たぁ」

銀時の低すぎる体温がおでこに触れる

「ちょっとあちぃかな?今日はもう寝てろ」

頭を少し離して布団へ目をやった

「了解アル」

ふらふらと銀時の元を離れ顔面から布団へダイブした

読みかけのページをカモメ折りにして机に伏せ

引出しを少しあさって、小さくため息を残し万事屋をでていった

パタン――。

「銀ちゃん?」


15分ほどして、小さな袋を手にした銀時が戻ってきた

「ほら、薬。ばばぁに貰ってきたぞ」

言いながら神楽の顔を覗き込む

「寝てんのか・・・」

頬を赤くして眠る少女を

銀時は優しい目で見つめていた

コップについできた水を少量口に含み

神楽の体を軽く起こし、顎に手をかけて口をそっと開かした

薬を一錠ほおり込み

水を流し込む

唇からもれた水が首筋に垂れた

舌でそっと喉の奥に薬を押し込んで飲み込むのを確かめると

ゆっくりと、惜しむように唇を離した


「・・・ごめんな」

一言つぶやいて、神楽が眠る部屋を後にした






「おはよーーー」

いつもの軽快な声が万時屋に響く

「おー」

目を合わさず挨拶を交わす

なんてない、いつもの光景。

今日は火曜日。

銀時にとって一番不快な曜日だった

「それじゃぁ、行って来るネ!」

いつもより明るめの色の傘を手に取り上機嫌で部屋をでていった

「・・・あぁ」



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