沖神小説
枝垂れ桜の散る様に (二

「そぉーごぉ」

「なんだ、今日は早ぇじゃねぇですかぃ」

「一週間に一度の休みだもん!早く会いたかったネ」

一抹の照れもなく、かわいらしい笑顔でそう言った彼女に、おもわずはにかみ笑顔が零れる

「ばぁーか」

8月の緑生い茂る公園で、いつものようにゆっくりとした時間を過ごす

なんのかわりもない、いつもと同じ二人の風景。

ただ一つ違いを挙げるとすれば今日は神楽がよく咳きこんでいた

「風邪ですかぃ?」

「もう大丈夫ネ!治ったアル」

「・・・なら、いいでさぁ」

沖田の腑に落ちないといったような顔で、この話題はひとまず終わりをむかえた

それから、水曜日から順々に月曜日までのたわいのない話をした

「―で、土方さんがさぁ・・・」

「それで銀ちゃんがね・・・」

いつものことだが、お互い土方、銀時の話しが一番多い

「まじでか!あのマヨラがか!」

「まじですかい!?まさか旦那が」

なんて、二人の意外な一面を肴にし時間が経つのを忘れて笑い転げていた

夕刻、いつものように万事屋に向かって歩いていると、急に神楽の体から力が抜けた

「わぁっ!」

「なぁにコケてんだぃ?」

にやにやしながらも、沖田は神楽の方へ近づいてくる

「こけてないアル!力が急に抜けて・・・よっ」

話しながら足に体重をかけ立ち上がろうとする
「っ!?」

ペタンっとなめらかにその場に座り込む

「・・・どうしたんでぃ?」

険しい顔をして手を差し出す

その手を握っても、立ち上がれない

沖田は神楽の腰に手をあててひょいと軽々神楽をもちあげた

「ほら、力いれて?」

ゆっくりと沖田が手を離す

カクンっとその場にへたり込む

「・・・立て、ないアル・・・。」







「ただいまヨーー」

「おー・・・・・どうしたんだ?」

玄関で、銀時の声が少し厳しくなった

「お久しぶりでさぁ、旦那ぁ」

「・・・怪我でもしたのか?」

神楽をおぶる沖田に問うた

「腰がぬけた・・・?よくわからねぇんですが急に下半身の力が抜けちまって。一度病院に行った方が、」

話してる途中で、銀時は沖田の背中から神楽をもちあげて、自分の右腕に収めた
父親が小さな子供を抱くように、だっこに近い抱え方。圧倒的な力の差がうかがえる

「・・・すまなかったな。おもかったろ?」

軽く笑って大人げない表情をみせた

「・・・いえ。大丈夫でさぁ」

そういって、沖田は神楽に目をむけた

「また、来週な」

当たり前のように、次の約束をかわして万事屋を後にした


「銀ちゃん?」

しかめっ面の銀時に神楽が気を遣うように名前を呼ぶ

「ん?」

すぐに表情が軽くなり至近距離の顔をまた少し近づける

「明日、病院行くか。風呂、どうする?一緒に入るか?」

「そーね、連れていって?」

神楽にとって銀時はお父さんにしか見えていないのが、今の発言からよくわかった

横顔が一瞬、寂しそうにみえた


神楽をお姫様抱っこして湯船につかった

銀時はできるだけ目を閉じていた

沖田の存在。自分の立場。

神楽を求めては、いけない。









「銀ちゃん、一緒に寝てもいいアルか?」

珍しく、神楽が甘えてみせた
自分の体の異変に少なからず不安を覚えたのだろう

その晩、小さな布団で二人、身を寄せ合って眠った

暖かい神楽の体温を背中で感じながら、銀時は早々と目を閉じた









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