沖神小説
枝垂れ桜の散る様に  (三

「筋萎縮性側索硬化症です」


次の日、病院に向かった銀時たちは、耳にしたことのない病名を告げられた

「きんいしゅくせい そく・・・そく?」
「そくさくこうかしょう。」

「ってなんネ?」

「いや、俺に聞かれても、ね?」

医者に助けを求める銀時

「お嬢さんは後で聞いてください。お父さん、いいですね?」

「おとっ・・・。神楽、外でまってろ」

医者のまじめな表情に、銀時はひとまず、従った




「筋萎縮性側索硬化症、別名ALS。この病気は、大変な難病です。」

「ALS・・・?」

「簡単に説明します。人間の手足、顔、自分の思いどおりにからだを動かすときに必要な筋肉を随意筋といい、それを支配する神経を運動ニューロンといいます。「ニューロン」というのは「神経細胞」のことです。
運動ニューロンは、歩いたり、物を持ち上げたり、飲み込んだりするなど、いろいろな動作をするときに、脳の命令を筋肉に伝える役目をしています。
この運動ニューロンが侵されると、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、筋肉を動かしにくくなったり、筋肉がやせ細ってきます。ALSはこの運動ニューロンが侵される病気です」

「・・・わかんねぇよ」

濁った表情で先生をみる

「・・・、簡潔にいいますと・・・、そのうち心臓をうごかす筋肉をも動かなくなり、・・・死に至ります。」



「・・・・・・え・・・・?」



空気が動かなくなった


静寂が  己の鼓動が速くなるのを伝える









「おー銀ちゃん遅かったアルなぁー。私の病気なんだったアル?」

「あぁ、長ったらしくて忘れた。まぁすぐに歩けるようになるってよ」

「そっか!・・・目ぇ、赤いよ・・・?」

「・・・花粉症だよ」

「まだ花粉飛んでないね。」

「花粉症だよ・・・。」











「っあ!あぁ〜あ。神楽ちゃんまぁた零して。」
「すまん。」

おはしを使えなくなった神楽の右手には、スプーンが握られていた

ものを噛む力が弱まり、口から食べ物が零れる

「ご飯、食べにくいョ、銀ちゃん」

「もう少しの我慢だ。早く直そうな」

「・・・うん。明日は、火曜日ネ。まだ会いに行っちゃダメあるか?」

「・・・明日は、ここに来てもらうか?」

「いいのか!?」

「・・・あぁ」




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