沖神小説
枝垂れ桜の散る様に (五






「あれ?総一朗君もう帰るの?」

「・・・旦那、あいつのこと・・・神楽のこと、任せやした」

「・・・・・・」

銀時は沖田の横顔の涙に気づき、わずかに息を漏らした

「ふぅ・・・、言われなくても。あいつのことは任せなさい」


間が空いて、



「お父さん、に・・・ね・・・・・・」



静かにそぅ、呟いた










「神楽ちゃん寒くない?」

かすかに動く唇から意図を読む

″ す こ し ″

「毛布持ってくるね」


「神楽、食えるか?」

離乳食のようなドロドロとしたお粥を少量レンゲにすくって口元へ運ぶ

口は開かない

神楽は目を細めて動かない唇を恨む

お粥から銀時に目線を移し、3秒。

銀時はレンゲのお粥を自分の口に含み神楽の顔に近づく


指で口を開かせお粥を口うつす

「ん・・・。」

ゆっくりと飲み込む

最近の食事方法だった。


布団から体を起こせなくなってから、2か月ほどが経っていた

神楽はたまに窓から外を眺めている
寂しそうな顔で




「今夜はやけに冷えるなぁー神楽一緒に寝るかぁ?」

優しい瞳で神楽に聞く

神楽の目が少し笑う

布団をくっつけてとなりで銀時が横になった

明かりを消して、静かに目を閉じる



「・・・ご・・・・そ・・・ご・・」


夜中、久しぶりに神楽の声を聞いた

「どうした?」

体を起して明かりをつける

「かぐ」
「そう・・・ご・・・」

寝言で愛おしい人の名前を呼ぶ神楽の頬は涙でぬれていた


「・・そ・・う・・・」


「っ神楽・・・」

銀時の悲痛の声は神楽には届かない


「そうご・・・・・・・」







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