沖神小説
枝垂れ桜の散る様に (完

「沖田隊長―?何してるんですかこんな時間に」

「・・・・・・隊長・・・?」

「ぁ?おう山崎。おまえこそなにしてんでぃ?こんな時間に。」

「俺は夜勤ですよ」

「おーお疲れさん」

一度も山崎の方を見ず、ただ寒空の下薄い浴衣一枚で物思いにふけっていた

屯所の庭にある大きな枝垂れ桜の木の下で、思い出していたのはひとりの少女のこと


「調子・・・よければいいけどなぁ・・・」
「え?」

「いや、こっちの話しでぃ」

ぶるっと肩を震わせて白い息を吐いた

「もう3月かぁ・・・」
















「ふ・・・ぁ〜あねっみぃ・・・」

午前6時、珍しく早く起床した銀時は、いそいそと身支度を始めた


ピンポー―――ン

「おはようござい」
「ばっか!神楽が起きちまうだろ!?」

「あっすいません!」

常識的なマナーのうえで万事屋を訪れた新八は見事に叱られてしまった

「それにしても、今日は一段と冷えますね」

「そーだな・・・ちょっと待ってろ」

「はい?」

いそいそと銀時は神楽のもとへ戻り、自分の使っていた毛布を足元から神楽にそっとかけた

「仕事行ってくんな。大人しく寝てろよ」

小さく言い聞かせ、二人は静かに万事屋をでた





午後四時、銀時帰宅

「ただいまー神楽ぁー起きてるかぁ?」

足早に奥の部屋へと歩を進める

「さっきそこで総悟クンに会ったから連れてきたぞ」

ほんとうは仕事が終わってすぐに屯所へ足を向けたのだ

仕事中だ。と土方に断られたが、沖田も会うことを望み抜け出してきた

「神楽・・・久し振りだな・・・」

ゆっくりと体を寝かしている神楽の元へと歩み寄る

そっと肩に手をかけ、うつぶせの体を表向けようとする

体中の力が抜けていてなかなか体を起こせない

銀時が手を貸してくれて、仰向けにさせた

神楽の目は、閉じている

「神楽、まだ寝て・・・」
「神楽!?神楽ぁ!!」

沖田は眠っていると思って抱き起した体を再び寝かせようとしたとき
銀時が声をあらげた

「神楽!!おいっ!?」

なんの反応もない

「うそ・・・だろ・・・」

「どけっ!」

口調が荒々しくなる

神楽を抱き上げて胸に耳を当てる

高まり早く早く脈打つ銀時の鼓動とは別に

神楽の心音は

聞こえなかった


「かぐ・・・ら・・」

微かに沖田が声を漏らす




 ¨ ト…クン… ¨


「神楽!?」


僅かに小さく
だけど確かに強く

最後に心臓を動かした



あ り が と


声こそは聞こえなかったが
唇がそぅ言った


溢れ出す涙は止めることはできず


抱き上げた神楽を強く強く
抱きしめた


「神楽ぁ…」


その少し後ろで

沖田は現実を受け入れられず

ひとり立ち竦む



枝垂れ桜が春の風を誘い空を舞う




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