沖神小説
オレンジ色のシャワーB

沖田は病院のベットの上で目を覚ました。

「ん、か……ら…」
「ん?なんだ?どうした総悟!?」
「土方さん…?神楽は?」
「あぁ今やっと眠ったところだ。起こすか?」
「いや、いい」
ベットのそばのソファーで疲れて眠る神楽がみえた
「あいつ、ずっとここにいたんですかぃ?」
土方に問う
「まる一日、お前が起きるまでって看病していたんだけど、さっき俺が無理やり寝かせた。」
「そう、か…」
複雑な表情を見せる沖田。
「ばれちまいやしたね、俺の病気。」
「総悟…」
なんと声をかけていいのかわからない土方は返答に困っていた。



「ん…。」
「おぅチャイナ、おめざめかぃ?」
半日が過ぎたころ神楽は目をさました。
「ソウゴ!!大丈夫アルか!?一体なんの病気ネ!?」
「……結核。」
「けっかく??」
「なぁに、たいした病気じゃないさ。すぐによくなるって医者もいってたしねぇ」
「よかったぁ」
沖田は心配をかけまいと嘘をいった。ほんとうは治らないことを知っていたのに。
「心配かけて悪かったな。もうすぐにでも退院できるから、お帰んなせぇ。旦那たちには言わねぇでくだせぇよ。余計な心配かけたくねぇからさ」
本当は結核という病気のことを神楽に教えられたくなかったからだった。
「わかったアル。」


それから沖田は入退院を繰り返し、日に日に弱っていった。

春の終わりに神楽はいつものように沖田の見舞いに来ていた。
「ソウゴ、今度はいつ退院出来るアルか?」
酸素マスクの下から沖田は話す
「もうすぐでさぁ。もうすぐ、また元気にさわげるようになりまさぁ。そしたらまたふたりであやめの花、見にいきやしょうね…」
力なく沖田は答えて笑ってみせた。



六月中旬、この日はしゅんしゅんと雨が降っていた。
神楽は沖田の枕元でりんごを剥いていた。
「ソウゴ、りんご剥けたネ。食べられるアルか?」
「いつもすまねぇなぁ」
「なにいってるネ!私好きでここにきてるアルよ」
沖田はシャリッと一口りんごをかじった。
「うめぇ」
「良かったアル」
沖田はかじったりんごをお皿において神楽をみた。
「チャイナ、もうちょっとこっちにきなせぇ。」
神楽は顔を近づける。
沖田は神楽の肩を優しくひきよせてキスをした。
びっくりする神楽に笑顔をみせ
「ありがとう」
沖田はそういってベットに体をねかせた。
「手ぇ、握っててくだせぇ。」
珍しく甘える沖田に神楽は言われるがままにしていた。
「チャイナ…すまねぇ」
沖田はいきなりあやまって、頬に涙をつたわせた
「どうしたネ!?」
神楽は頬の涙をそっとぬぐってあげた
「ソウゴ…しんどいのか?」
「神楽っ」
「…ソウゴ??」
「俺はまだ死にたくねぇ。お前を一人にしたくねぇ!」
沖田の涙は激しくなる
「ソウゴ!!大丈夫アルよ!!ソウゴは死なない!!死なせない!!」
「神楽、すまねぇ…すまねぇ…ありがとう」
沖田はかすかな声でつぶやいた。
握った手の力が段々抜けていくのがわかった。
「神楽ぁ、愛してる…」
沖田はそう言ったっきり口を開くことはなかった。
雨の音だけが、頭に響く…。


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